Heart and Vessels
2017
研究の着想
冠動脈バイパスの末梢側吻合を長くするとエネルギー損失は減るか — 手縫い吻合模型の CFD
Longer coronary anastomosis provides lower energy loss in coronary artery bypass grafting
訓練用模型に外科医が手縫いした吻合を micro-CT で撮像して CFD で解くと、10 mm の吻合は4 mm より吻合部の断面積が大きく(28.67 と 8.89 mm²)、吻合角が小さく(10.2° と 20.6°)、エネルギー損失は 34.78 μW と 77.10 μW で半分以下でした。4 mm の吻合では流れの向きが2回急に変わり、つま先側で剥離が起きました。
理想化した吻合形状ではなく、熟練外科医が実際に手縫いした吻合を 37 μm の分解能で撮像して解析に使った点が、ほかのグラフト設計研究にない特徴です。手縫いの吻合は真円にならず、4 mm の吻合では10本中2本が漏れや狭窄で解析に使えなかったという事実も、形状の個体差が血流に響くことを示しています。エネルギー損失は断面積の拡大よりも流れの向きの急な変化に強く依存したと著者は考察しています。共著者2名は訓練用模型の製造企業に所属しています。
Journal of the American College of Cardiology
2010
解析実務に直答
技術動向
カテーテル検査室における冠動脈生理評価の現在 — FFR・CFR・微小循環抵抗の総説
Current concepts of integrated coronary physiology in the catheterization laboratory
造影は3次元の内腔を2次元で写すため、径狭窄率30〜80%の病変では虚血の有無を正確に示しません。最大充血下で狭窄の遠位圧を大動脈圧で割った FFR が、血管ごとの虚血の指標になります。FFR 0.75 未満は虚血、0.80 超は非虚血と対応し、その間は臨床判断が要る移行帯です。
FFR の定義が「圧力の比で流量の比を代用する」ことに立っている点を、計算の側から読める総説です。代用が成り立つのは最大充血で微小循環の抵抗が最小かつ一定になるという前提があるときで、急性心筋梗塞の責任血管ではその前提が崩れると明記されています。CT や造影画像から FFR を計算する手法も、同じ前提を境界条件として模型に持ち込んでいます。狭窄部の圧力低下を、長さ・面積・流量と粘性摩擦・剥離の係数から計算する式が図に示されており、血流解析で扱う圧力損失と臨床指標が同じ物理でつながることを説明するときに使えます。
The New England Journal of Medicine
1996
解析実務に直答
技術動向
冠血流予備量比(FFR)で中等度狭窄の機能的重症度を評価する — FFR の臨床検証
Measurement of fractional flow reserve to assess the functional severity of coronary-artery stenoses
中等度狭窄の45例で、FFR 0.75 未満の21例は全員が少なくとも1つの負荷試験で可逆性虚血を示し、血行再建後に陰性化しました。0.75 以上の24例のうち21例は全負荷試験が陰性で、血行再建をせずに14か月間事象はありませんでした。感度88%・特異度100%・正診率93%で、造影の狭窄度は両群で差がありませんでした。
FFR を臨床で使える指標として確立した原典です。最大充血下では狭窄遠位の圧と大動脈圧の比が、狭窄がある場合の最大血流と狭窄がない場合の理論上の最大血流の比に等しいという定義に立ち、全身の血圧や心拍数、安静時の血流を変える条件に影響されにくく、正常値が誰でも1になるという性質を挙げています。一方で、小血管病変・びまん性病変・左室肥大では薬による充血で血流が十分に増えず、狭窄の重症度を過小評価すると著者自身が書いています。計算で FFR を推定する解析も同じ前提に立つため、この限界はそのまま計算にも当てはまります。
Echocardiography
2026
解析実務に直答
右室流出路再建後の肺動脈弁逆流において、心臓 MRI による評価へ回す目安としてのドプラ心エコー由来の拡張早期右室–肺動脈圧較差
Early-Diastolic Right Ventricle-Pulmonary Artery Pressure Gradient by Doppler Echocardiography to Guide Cardiac Magnetic Resonance Assessment of Pulmonary Regurgitation after Right Ventricular Outflow Tract Reconstruction
補助の指標としては使えますが、単独の振り分け基準にはなりません。40例の後ろ向き研究で、拡張早期の逆流ピーク流速から ΔP=4v² で求めた圧較差は、MRI の逆流率と r=0.65、カテーテル実測の圧較差と r=0.55 で相関しました。逆流率 25% 以上の判別は曲線下面積 0.90 で、19.4 mmHg を境にすると特異度は100%でしたが、感度は70.4%にとどまります。中等度と高度の区別はできませんでした。
簡易ベルヌーイ式の圧較差をどこまで信用してよいかという相談に、一つの答え方を与える報告です。同じ式でも、この研究では拡張早期の一瞬の圧較差として使うとカテーテル実測との平均の差が -1.7 mmHg にとどまった一方、右房圧を足して平均肺動脈圧を推定する使い方では相関が弱く、偏りも大きく出ています。式の良し悪しより、その値がどの時相のどの圧を代表しているかで使い道が決まることを示す実例です。4D Flow MRI や数値流体解析で圧較差を出すときも、ドプラ由来の値と比べる前に、時相と圧の定義が揃っているかを確かめる必要があります。
European Heart Journal - Imaging Methods and Practice
2026
解析実務に直答
研究の着想
妊娠高血圧の母体から生まれた小児の心形態と心内血流
Cardiac morphology and flow dynamics in children born to hypertensive pregnancies
6〜9歳の小児で 4D Flow MRI を撮った93例のうち、品質基準を通って解析に残ったのは67例でした。妊娠高血圧に曝露した群と対照群で、容積、駆出率、ストレインといった通常の指標には差がありませんでした。血流の4成分の容積にも差がなく、差が出たのは拡張末期の滞留流入の運動エネルギー(3.35 対 5.70 μJ/mL)だけです。著者はこれを探索的な所見と位置づけ、別の集団での再現を求めています。
小児の心臓で 4D Flow MRI の研究を計画する相談に、脱落の割合と期待できる効果の大きさを実数で示せる報告です。撮像できた93例のうち26例が画質や処理の問題で除外されており、例数の設計には3割前後の脱落を見込む根拠になります。除外の基準は、1回拍出量が通常のシネ画像の80%未満、流入と流出の差が15%以上、生理的でない流れが25%以上と明記されており、自施設の品質管理の基準を決める参考になります。通常の心機能指標に差がない群で血流の指標にだけ差が出たという結果は研究の着想になりますが、多数の指標を調べたうちの1つで、個人の判別に使える差ではない点を併せて伝える必要があります。
Frontiers in Cardiovascular Medicine
2026
解析実務に直答
研究の着想
エネルギー損失の成分分解による EVAR 後 I 型エンドリークの評価 — 予備的な実行可能性研究
Evaluation of Type I endoleak after endovascular aneurysm repair for abdominal aortic aneurysm using component quantification of energy loss: a preliminary feasibility study
腹部大動脈瘤に EVAR を行った8例(I 型エンドリークあり4例・なし4例)を比べた研究です。壁面平均の時間平均せん断応力には群間差が出ず、エネルギー損失を平均流成分と乱流成分に分けて部位別に積算したときだけ差が出ました。左腸骨枝の乱流成分は 828 対 399(単位 10⁻⁶ W)です。ただし各群4例で、著者自身が仮説を立てる段階だと述べています。
エネルギー損失を1つの総和として出すのでなく、平均流成分と乱流成分に分け、さらにステント本体・左右の腸骨枝と部位ごとに区切って積算した解析です。同じ計算から出した壁面平均の TAWSS では群間差が出ず、成分に割ったエネルギー損失でだけ差が出たという対比は、どの指標を見るべきかを相談されたときの材料になります。実務で効くのは、平均を取る範囲の決め方です。血管全体で平均すると接合部で起きていることが薄まるため、区間を切って積算する必要があります。一方、各群4例という規模は小さく、入口の流量波形も個別計測でなく標準波形を当てているため、絶対値をそのまま他施設と比べる使い方はできません。
Magnetic Resonance in Medicine
2016
解析実務に直答
狭窄流の圧力損失推定を数値解析で比べる — どの式が真値に近いか
4D Flow MRI-Based Pressure Loss Estimation in Stenotic Flows: Evaluation Using Numerical Simulations
真値 6.76±0.54 mmHg に対し、簡易ベルヌーイは 8.74±0.67 mmHg と過大、拡張ベルヌーイは 6.57±0.53 mmHg で最も近いです。圧ポアソン方程式はほぼゼロになります。TKE は分解能の影響をほとんど受けないが、粘性散逸は過小評価され分解能に依存します。
圧力損失の指標を選ぶときに、最初に見るべき比較表です。CFD で真値が分かる条件を作り、そこに MRI 計測を模擬して各手法を当てているため、手法そのものの優劣を切り分けられます。実務で押さえる点は二つあります。第一に、圧ポアソン方程式は非可逆圧較差をほぼ拾えないことです。第二に、TKE と粘性散逸は形状ごとの相関は強い(r²>0.93)のに、形状をまたぐと落ちる(r²=0.756 と 0.776)ことです。つまり同一症例の経時変化には使えても、症例間の絶対比較には向きません。
Magnetic Resonance in Medicine
2011
解析実務に直答
研究の着想
大動脈の 4D 圧差マッピング — ファントム比較と生体への適用
In vivo noninvasive 4D pressure difference mapping in the human aorta: phantom comparison and application in healthy volunteers and patients
大動脈縮窄術後6例で、ドプラ超音波との相関は r=0.96(p<0.05)と高いが、14.7%±15.5% の過小評価が残ります。この値は狭窄の近位と遠位を結ぶ全経路のうち最大の圧差を採った場合のもので、経路の取り方が結果を左右します。
相対圧を臨床値と突き合わせた初期の系統的検証です。実務で重要なのは、相関の高さより経路依存性です。狭窄の近位と遠位を結ぶ経路は無数にあり、そのどれを採るかで値が変わります。この論文は全経路のうち最大値を採る方針を明示し、それでもドプラより約15%低いと報告しました。相対圧を報告するときに経路の決め方を書かなければ再現できない、という実例として引けます。空間2.1 mm³・時間40 ms という当時の条件も、必要な撮像水準の目安になります。
The Annals of Thoracic Surgery
2009
解析実務に直答
研究の着想
エネルギー損失と血流停滞から決める extracardiac Fontan の導管径
Optimal Conduit Size of the Extracardiac Fontan Operation Based on Energy Loss and Flow Stagnation
太ければよいわけではありません。エネルギー損失は 14mm 5.759 mW から 22mm 4.199 mW までしか下がらないのに、血流の停滞域は導管容積の 9.20% から 33.9% へ増えます。損失の利得より停滞の不利が上回るため、16〜18mm が最適と結論しています。
指標を1つ増やすだけで結論が変わる例として、当社が最も引きやすい論文の一つです。エネルギー損失だけを見れば導管は太いほど良いことになります。ここに「流速が 0.01 m/s を下回る領域の体積」という停滞の指標を足すと、太い導管は余剰空間を持つことが見え、結論が逆転します。血栓や狭窄という晩期合併症に直結する量を、流れの解析からどう定義するかの実例です。呼吸駆動の非定常条件を与えている点も、Fontan 循環を定常流で近似しないという姿勢を示しています。当社の共同研究者による論文です。
The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery
2009
研究の着想
解析実務に直答
Y字型 extracardiac Fontan グラフトの CFD 評価
Evaluation of a novel Y-shaped extracardiac Fontan baffle using computational fluid dynamics
良くなります。断面積を保つ12mm分枝の Y 字グラフトは、安静時も運動時も従来の T 字接続とオフセット型より効率が高く、安静から運動への効率低下を38%改善しました。上大静脈圧は運動時に最大5mmHg下がり、下大静脈血流も左右肺へより均等に配分されました。
術式の代替案を CFD で比べるときの、指標の立て方が参考になります。Fontan 圧・エネルギー効率・下大静脈血流の配分・壁面せん断応力の4つを並べ、単一指標では見えない副作用まで拾っています。実際、効率が最も高い12mm分枝は低ずり領域がやや広いという逆向きの結果も併記されており、こうした指標間のトレードオフを隠さないことが術式提案の説得力になります。分枝径を「既製品の9mm」と「断面積を保つ12mm」で振っている点も、実装可能性を意識した設計として学べます。
Circulation
2007
解析実務に直答
研究の着想
Fontan 術後の運動時パワー損失は非線形に増える
Nonlinear power loss during exercise in single-ventricle patients after the Fontan: insights from computational fluid dynamics
済ませてはいけません。10例の解析で、パワー損失は心拍出量の増加に対して非線形に急増しました。ヘッド損失や抵抗に正規化しても非線形性は残ります。左右肺の血流配分も運動時に損失へ強く効き、多くの形状で右肺動脈側へ流れるほうが有利でした。
手術計画やデバイス評価で「安静時の条件で解いた」と報告するとき、その限界を示せる一報です。損失が流量に非線形なら、安静時の効率が良い形状が運動時にも良いとは限りません。当社が Fontan 関連の解析を受けるときに、条件を安静時1点で終わらせず 2倍・3倍の流量まで振る根拠になります。左右肺の配分を 30/70 と 70/30 で振ると損失が変わるという結果も、配分を固定値で仮定することの危うさを示しています。
The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery
1996
技術動向
研究の着想
外科術式の設計に CFD を使う — 大静脈肺動脈吻合の流れの競合
Use of computational fluid dynamics in the design of surgical procedures: application to the study of competitive flows in cavopulmonary connections
使える、と示した最初の報告。上下大静脈の吻合をずらす量と形を変えて解析し、下大静脈側の吻合を右肺動脈側へ広げるとエネルギー損失が最小で左右肺の血流配分も最適になることを見いだし、術式として記述しました。以後の Fontan 設計研究はここから始まります。
当社が手がける手術計画の原型にあたる論文です。実務上の意義は結論よりも枠組みにあります。形状のパラメータを振って、エネルギー損失と左右肺の血流配分という二つの指標で優劣をつけ、その結果を術式として書き下します。この手順が30年経ったいまも変わっていません。同時に、著者自身が「術後不全の原因は特定できなかった」と書いている点も重要で、CFD が示せるのは局所形状が流れに与える影響までだという線引きが最初から意識されています。
Scientific Reports
2019
研究の着想
解析実務に直答
仮想仕事エネルギー法による相対圧推定(νWERP)
Estimation of Cardiovascular Relative Pressure Using Virtual Work-Energy
補助的な仮想場を解いてから仕事エネルギー式を適用する手法。先天性心疾患の思春期患者5例でカテーテル圧との誤差 16±13%(絶対値 1 mmHg 未満)。同じデータで簡易ベルヌーイは100%超、従来の WERP は300%超の誤差でした。
相対圧推定の手法を比較するときの基準になる論文です。実務上の含意は、手法の選択が結果を桁で変えるという点にあります。同一データに対して簡易ベルヌーイが100%超、非定常ベルヌーイが67%、従来の WERP が300%超の誤差を出す中で、この手法だけが20%を切りました。逆に言えば、どの手法で出した相対圧かを書かない報告は比較できません。ただし内腔が3〜4ボクセルを切ると誤差が増え、乱流変動は現時点で扱えないと明記されています。狭窄部への適用には注意が要ります。
Magnetic Resonance in Medicine
2014
解析実務に直答
異常な大動脈血流における粘性エネルギー損失
Viscous energy loss in the presence of abnormal aortic flow
胸部大動脈で健常 2.3 mW に対し、拡張のみ 3.6 mW、拡張+狭窄 14.3 mW と約6倍に増えました。損失の71%は上行大動脈で生じます。圧較差との相関は r²=0.91 と強いが、狭窄がある群では大動脈径との相関は消える(r²=0.14)。
エネルギー損失を指標として採用するかを判断する材料です。狭窄があると値が桁で変わるため、群間差は明瞭に出ます。一方で注意すべき点が二つあります。ひとつは、損失の大半が上行大動脈に集中するため、計測範囲の取り方で値が大きく動くことです。もうひとつは、拡張だけの群では大動脈径と相関するのに、狭窄群では相関が消えることです。径だけを見て損失を推測することはできません。観察者間のセグメンテーション差だけで ±1.75 mW、値の7%が動く点も、施設間比較の前提として押さえておく必要があります。
JACC: Cardiovascular Imaging
2013
解析実務に直答
研究の着想
TKE から非可逆圧力損失を推定する — 大動脈弁狭窄
Magnetic resonance measurement of turbulent kinetic energy for the estimation of irreversible pressure loss in aortic stenosis
上行大動脈のピーク総 TKE と圧力損失指数は R²=0.91 で強く相関しました。狭窄患者の TKE は 3〜52 mJ、健常は 3 mJ 未満。TKE は乱流の速度変動が持つ運動エネルギーで、非可逆圧力損失と同じ量ではありません。その散逸を通じて損失に寄与するため、乱流に伴う損失の指標として検討されています。
「4v² で出した圧較差が症状と合わない」という相談に、原理から答えられる一報です。簡易ベルヌーイは最大流速1点だけを使い、狭窄後の圧力回復を数えないため、心室にかかる実際の負荷を過大に評価することがあります。この論文は乱流の速度変動が持つ運動エネルギーを測り、圧力損失指数との回帰式まで示しました。TKE は損失そのものではなく、その散逸を通じて損失に寄与する量である点に注意が要ります。ただし真の基準となる侵襲的圧測定が得られたのは1例のみで、検証の水準はまだ高くありません。指標として採用するかを判断する材料として読むのが妥当です。
Journal of Magnetic Resonance Imaging
2025
解析実務に直答
研究の着想
Multi-VENC 4D Flow による頸動脈狭窄の TKE 評価
Quantitative Evaluation of Carotid Artery Stenosis by Multi-VENC 4D Flow MRI: Incorporating Turbulent Kinetic Energy for Clinical Validity
VENC 33/100/300 cm/s の3段構えで撮り、TKE は狭窄群 391.5 µJ 対 非狭窄群 254.4 µJ。ただし NASCET 狭窄率との相関は r=0.309 と弱く、内膜中膜厚(r=0.543)やピーク流速(r=0.462)のほうが強いです。狭窄率の代用にはなりません。
VENC 設定に迷う現場に対して、実際に使われた数値を示せる一報です。33/100/300 cm/s という3段の組み合わせと 1.0 mm³ 等方・撮像約10分という条件は、そのままプロトコル検討の出発点になります。もう一つ重要なのは、TKE と狭窄率の相関が r=0.309 と弱いことです。TKE は狭窄率を置き換えるものではなく、プラークの不安定性(視覚スケールと r=0.392)に寄る指標として位置づけるのが妥当です。単一 VENC との直接比較は示されていないため、多段化の利得は定量化されていません。
Magnetic Resonance in Medical Sciences
2022
解析実務に直答
技術動向
4D Flow MRI の血行力学パラメータ — 数式の定義と、分解能に効くもの効かないもの
Hemodynamic Parameters for Cardiovascular System in 4D Flow MRI: Mathematical Definition and Clinical Applications
空間微分を含む指標(渦度、ヘリシティ、エネルギー損失)は分解能に弱く、4D Flow では EL が最大で約80%過小評価されます。TKE は空間微分を使わないため微分量より有利ですが、時空間の平均化や層流の速度勾配がボクセル内分散に混入するため、分解能の影響を免れるわけではありません。指標の選択は装置の分解能から逆算できます。
指標選択の相談に対して、数式の構造から答えを出せる総説です。判断の軸は単純で、その指標が空間微分を含むかどうかです。含むもの(渦度・ヘリシティ・EL・WSS)は分解能とノイズに直接影響され、含まないもの(TKE)は影響されにくいです。EL については VENC を 1.5〜2.0 m/s に固定する具体的な推奨も示されています。当社の解析メニューの多くがこの表に載っており、どの指標をどの条件で提案すべきかの根拠になります。当社の共同研究者による論文で、宮崎も著者に加わっています。