4D Flow CMR 合意声明 2023年アップデート — 撮像から品質保証までの現行基準
4D Flow cardiovascular magnetic resonance consensus statement: 2023 update
4D Flow を自施設で立ち上げるとき、どの数値をプロトコルに書き、何をもって使える状態と判断するか。
空間分解能は成人血管 2 mm³・小児血管 1.5 mm³・新生児 0.75〜1 mm³、時間分解能は定量用 30 ms(上限50 ms)。導入時は健常者・患者10例で 2D 位相コントラストと比較し、流量差5%以内を満たすことです。日常は症例ごとに質量保存を1組確認します。
当社の視点
「何をどう撮ればよいか」の相談に対して、最初に案内する基準文献です。2015年の初版に対し、対象年齢別の分解能、VENC の部位別目安、そして導入時の妥当性確認の手順が具体化されました。当社が実務で最も引くのは品質保証の節で、10例での 2D 比較・5%以内という数値があるため「使える状態かどうか」を施設が自分で判定できます。逆流量の手法間差が15 mL または10%を超えたら解析を見直すという基準も、日常の判断に直接使えます。
扱う範囲
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01
空間分解能(取得分解能で見る)
成人 whole heart 2.5 mm³(上限3)、成人血管 2 mm³(上限2.5)、小児 whole heart 2 mm³(上限2.5)、小児血管 1.5 mm³(上限2)、新生児 0.75〜1 mm³(上限1.5)。再構成後の分解能ではなく取得分解能が実性能を決めます。
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02
VENC の決め方
エイリアシングを避けつつ速度対雑音比を保つため、想定最大流速の25%増し以内に置きます。大血管150 cm/s、解離の偽腔50〜150、静脈50〜80、心腔内100〜150、狭窄が疑われ事前情報がなければ初期値250 cm/s。事前の速度スカウトか 2D 位相コントラストを根拠にします。
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03
後処理の5工程
背景位相オフセット補正(渦電流と concomitant gradient、静止組織の線形・多項式当てはめ)→ 速度アンラップ(収縮期・拡張期のピークで3方向すべて目視確認、補正できない領域は解析対象外)→ セグメンテーション(血管に直交、心周期を通じて追従)→ 可視化(任意)→ 定量と質量保存による内部整合性チェック。
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04
導入時の妥当性確認
健常者・患者10例で 2D と 4D Flow の両方を取得し、同日または1か月以内に再撮像します。範囲は上行大動脈・肺動脈幹・左右肺動脈・上大静脈・下行大動脈・肺静脈。2D との流量差5%以内、読影者内・読影者間も1週間以上あけて5%以内。
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05
報告すべき項目
装置メーカーとソフトウェア版、磁場強度、モーションエンコード方式、k空間充填法、取得分解能と再構成分解能、実効時間分解能、TE・TR・フリップ角・VENC、同期法、高速化手法と係数、撮像時間。後処理では解析ソフトと版、背景位相補正の方法、アンラップのアルゴリズム、面設定の方法。
現行の推奨値
数値で確かめる
| 項目 | 値 | 補足 |
|---|---|---|
| 空間分解能(成人・血管) | 2 mm³ | 上限 2.5 mm³。取得分解能で見る |
| 空間分解能(小児・血管) | 1.5 mm³ | 上限 2 mm³ |
| 空間分解能(新生児) | 0.75〜1 mm³ | 上限 1.5 mm³ |
| 空間分解能(whole heart) | 成人 2.5 / 小児 2 mm³ | 上限 3 / 2.5 mm³ |
| 時間分解能(定量用) | 30 ms | 上限 50 ms。可視化のみならこれより粗くても可 |
| VENC | 最大流速 +25% 以内 | 大血管150/静脈50〜80/心腔内100〜150 cm/s |
| 2D 位相コントラストとの流量差 | 5% 以内 | 導入時に健常者・患者10例で確認 |
| 読影者内・読影者間の差 | 5% 以内 | 1週間以上あけて再解析 |
| 上行大動脈に2〜4面を置いた差 | 5% 未満 | 面設定に起因するばらつきの確認 |
| 逆流量の手法間差 | 15 mL または 10% 超で見直し | これを超えたら解析をやり直す |
いずれもこの2023年アップデートが示した値です。
実務チェック
- 分解能は取得分解能で書きます。再構成後の値を性能として報告しません。
- 症例ごとに質量保存を1組は確認する(左右肺動脈の和=肺動脈幹、上大静脈+下行大動脈=上行大動脈 など)。
- 収縮期と拡張期のピークで3方向すべてのエイリアシングを目視確認し、補正できない領域は流量解析から外します。
- 導入初期は 2D と 4D Flow を併記し、両チームが確信を持てるまで併用します。
運用上の注意
- WSS・脈波伝播速度・TKE・相対圧などの派生指標は、初版と同様に臨床応用として確立された指標とは別に扱われています。
- 後処理の具体的な手順は先天性心疾患について SCMR FLIICR の推奨で別途整理されています。
- 造影剤は必須ではありませんが、投与後に撮像すると位相データにどう影響するかは完全には解明されていないとしています。
書誌情報
| 原題 | 4D Flow cardiovascular magnetic resonance consensus statement: 2023 update |
|---|---|
| 著者 | Bissell MM, Raimondi F, Ait Ali L, Allen BD, Barker AJ, Bolger A, Burris N, Carhäll CJ, Collins JD, Ebbers T, Francois CJ, Frydrychowicz A, Garg P, Geiger J, Ha H, Hennemuth A, Hope MD, Hsiao A, Johnson K, Kozerke S, Ma LE, Markl M, Martins D, Messina M, Oechtering TH, van Ooij P, Rigsby C, Rodriguez-Palomares J, Roest AAW, Roldán-Alzate A, Schnell S, Sotelo J, Stuber M, Syed AB, Töger J, van der Geest R, Vannesjo J, Wieben O, von Knobelsdorff-Brenkenhoff F, Zaman A, Nielsen JF, Baltes C, Dyverfeldt P |
| 掲載誌 | Journal of Cardiovascular Magnetic Resonance(2023) |
| DOI | 10.1186/s12968-023-00942-z |
| PMID | 37474977 |